遺産分割協議書の作成方法
ご家族がお亡くなりになって相続が開始すると、遺言がない場合は、被相続人(故人)の遺産の分配について、相続人間で取り決める「遺産分割協議」を行う必要があります。その遺産分割協議で取り決めた内容をまとめたものが、遺産分割協議書です。
遺産分割協議書があれば、不動産の名義変更等の相続手続を行うことができます。逆に言うと、遺産分割協議書がなければ、これらの相続手続が行えません。しかし、実際に作成しようとすると、「遺産分割協議書の書き方がわからない!」というお悩みをよくお伺います。
そこで、以下では、相続に関する解決実績250件以上、相談件数500件以上の当事務所の豊富な経験を踏まえて、遺産分割協議書の書き方を解説いたします。遺産分割協議書のひな型もダウンロードできるようにご用意しておりますので、あわせてご覧いただければと思います。
遺産分割協議書に記載する項目
遺産分割協議書に記載すべき内容は、主に次のとおりです。
- 被相続人は誰か、どこに住んでいたか
- 相続人は誰か、被相続人との関係は何か
- 相続人全員が遺産分割協議で合意した内容
- 誰が何を相続したか
- 後から発見された遺産をどうするか
- 協議が成立した年月日
- 相続人全員の署名(又は記名)と実印による押印
遺産分割協議書の作成手順
作成する方法を決めます
遺産分割協議書は、遺言書と異なり、手書きでもパソコンでも作成が可能です。まずは、手書きで作成するか、パソコンで作成するかを決めましょう。どちらについても、ひな型を参考にしてください。
タイトルを「遺産分割協議書」と記載します
亡くなられた方の本籍地と最後の住所地を記載します
亡くなられた方(被相続人)の本籍地と最後の住所地は、相続人調査の際に取り寄せた戸籍謄本や住民票除票から把握できます。
亡くなられた方の氏名と死亡日を記載して、前書きを記載します
前書きは、ひな形をご参照ください。
プラスの財産の相続方法を記載します
誰がどのプラスの財産(不動産、預貯金、株式等)を相続するのかについて、「1、2、3・・・」と項目を立てて記載します。具体的な内容は、ひな形をご参照ください。
マイナスの財産の相続方法を記載します
マイナスの財産(借金やローンなどの債務)についても、項目を立てて相続方法を記載します。ただし、債務の相続については、債権者にそのまま主張できるわけではないので、注意が必要です。
協議終了後に判明した財産の取扱いについて記載します
遺産分割協議書に署名又は記名と実印による押印がなされれば、基本的に遺産分割協議は終了となりますが、その後に判明した財産の取扱いについても取り決めておくことがベターです。改めて遺産分割協議を行うか、どなたかが取得すると決めておくか、いずれかになるでしょう。
作成した年月日を記載します
相続人全員の住所を記載し、署名と実印による押印で完成です
遺産分割協議書の最後に、相続人全員の住所を記載し、署名と実印による押印を行います。相続人の氏名は記名でもかまいませんが、後日のトラブルを避けるためにも、相続人全員が署名(自署)することが望まれます。また、印鑑証明書もセットで必要となりますので、印鑑証明書の印影と一致しているか確認しましょう。
遺産分割協議書作成のポイント
代償分割の場合
相続人の一人が遺産(不動産や非上場の株式など分割が難しいもの)を取得する代わりに、他の相続人に対して金銭を支払う場合(代償分割の場合)は、下記のような記載が適切となります。
第○条 相続人 田辺太郎は、その取得した相続分の代償として、相続人 田辺二郎に対して、金〇〇万円を支払う。
相続人の中に未成年者や成年被後見人等がいる場合
相続人が未成年者の場合は親権者又は未成年後見人が、成年被後見人・被保佐人・被補助人の場合は家庭裁判所が選任した成年後見人・保佐人・補助人が、それぞれ本人の代わりに遺産分割協議に参加します。
ただし、親権者等も相続人であるなど、未成年者と親権者等、成年被後見人等と成年後見人等の利益が相反する場合には、特別代理人の選任が必要となります。
» Q&A 相続人の中に認知症の人がいる場合はどうする?
» Q&A 相続人の中に未成年者がいる場合はどうする?
不動産の記載
遺産分割協議書に不動産を記載することがありますが、その不動産の内容は誤りを防ぐために、登記簿謄本(全部事項証明書等)の内容をそのまま記載しましょう。なぜなら、不動産の名義変更(相続登記)の際には遺産分割協議書が必要となり、不動産の登記簿謄本と遺産分割協議書に記載された不動産の記載が異なっていると、不動産の名義変更ができない可能性があるからです。正確に記載をするためにも、登記簿謄本を取り寄せておきましょう。
具体的に記載すべき部分は、下記のとおりです。
土地 | 所在、地番、地目、地積、 |
---|---|
建物 | 所在、家屋番号、種類、構造、床面積 |
建物がマンションの場合
マンションの1室が遺産である場合も、通常の土地や建物と同様に、登記簿謄本に沿って記載します。ただし、この場合は、建物全体の記載をした後に所有している専有部分と持分である敷地権の記載をしなければならないため、表記が長くなります。記載例は次のとおりです。
1棟の建物の表示
所在 〇〇県〇〇市〇〇3-13-2
構造 鉄筋コンクリート造り5階建て
床面積 1階 160.1m2
床面積 2階 160.1m2
床面積 3階 160.1m2
床面積 4階 141.4m2
専有部分の建物の表示
家屋番号 〇〇県〇〇市〇〇3-13-2-401
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造り1階建て
床面積 54.4m2
敷地権の表示
所在及び地番 〇〇県〇〇市〇〇3-13-2
地目 宅地
地積 320.51m2
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 1万分の321
不動産が共有の場合
遺産の中に不動産の共有持分がある場合は、遺産分割協議書にもその旨を記載する必要があります。
こちらの記載は上記のマンションほど、手間はかからず、不動産の情報の最後に「持分」の表記をするのみです。
記載の例は下記のとおりです。
所在 〇〇県〇〇市〇〇3丁目
地番 2番11
地目 宅地
地積 55.51m2
持分 3分の1
預貯金や株式の記載
預貯金や株式については、金融機関の名称はもちろん、支店名、普通・定期などの種別、口座番号を正確に記載しましょう(ひな型には銀行の普通預金の場合と定期預金の場合を記載しています。)。
なお、生命保険金は、受取人が指定されている場合は遺産分割協議の対象外となるため、遺産分割協議書に記載する必要はありません。
遺産分割や遺産分割協議書でお困りの際は、弁護士へご相談を
- 相続人だけで遺産分割協議書を作成できる自信がない
- 遺産分割協議書の案を作成してみたものの、この文章で意味が通じるのかわからない
- 仕事や家事・育児・介護で忙しく、遺産分割協議書の作成から手配まで任せしたい
- 相続人の中に関係性のよくない人や疎遠な人がいて、遺産分割協議をどのように進めたらいいかわからない
このようなお考えの方は、ぜひ一度、相続に強い弁護士に相談しましょう。時間と労力をかけて遺産分割協議書を作成しても、その内容に不備があり、再び遺産分割協議をすることになった事例や、十分な解決に至らなかった事例もあります。
そのため、当事務所では、遺産分割協議書の作成サポートも行っています。もちろん、その前提として遺産分割協議のサポート(交渉の代理)も行っていますので、遺産分割や遺産分割協議書の作成などでお困りでしたら、当事務所までお気軽にご相談ください。
» 遺産分割協議の弁護士費用
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