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財産の使い込みを追及したい方へ

よくあるご相談の例

遺産分割で揉めているケースでは、関連して

というご相談も受けることがあります。これらは、親と同居するなど日常的に関わっていた兄弟姉妹が、生前に親の預貯金を引き出して使い込んでいた可能性がある、と考えてのご相談です。

預貯金の使い込みが発覚した場合に何ができるか

被相続人名義の預貯金がその生前に相続人の一人によって引き出されていることは、よく見られます。例えば、高齢で足腰の悪い被相続人に頼まれて、生活の面倒を看ていた子が出金し、被相続人に渡しているケースです。

しかし、引出しが被相続人に無断で行われ、そのお金を引き出した相続人が取得した場合は、被相続人は、その相続人に対して返還を求める権利（不当利得返還請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権）を取得します。この権利も財産ですから、被相続人が行使することなく亡くなったときは、相続人（引き出した相続人を含みます。）に相続されることになるのです。

したがって、相続人は、相続した権利に基づき、引き出した相続人に対して、無断で引き出した額の返還を求めることができます。ただし、返還を求めることができる額は、請求する相続人の法定相続分により決まりますし、そもそも遺言により上記権利の取得者が指定されている場合は、その取得者以外は返還を求めることができません。

どのような証拠が必要か

使い込みが疑われる場合は、

を裏付けられる証拠を集める必要があります。

 預貯金口座の通帳、取引履歴

まずは、使い込みが疑われる預貯金口座の通帳を確認して、いつ、どこで（支店）、いくらの預貯金が、どのように（窓口、ATM）で引き出されたのかを確認することが不可欠です。通帳を手に入れられない場合には、金融機関で取引履歴を取得しましょう。

 払戻請求書等

窓口で引き出す際に作成する払戻請求書等は、窓口で手続を行った人の筆跡を明らかにするものとして、誰が引き出したかで揉めている事案などでは大変有益な証拠となります。

 医療記録、介護記録等

被相続人以外の人による多額の預貯金の引出しが認められても、被相続人から頼まれた引出しである場合には、「使い込み」（不当な利得）とは評価されません。引出しが被相続人の意思に基づくものだったか否かについては、引出し当時の被相続人の生活状況、身体的状況、意思能力等も重要になります。

例えば、被相続人が入院していた医療機関の医療記録、入所していた施設の介護記録等から、引出し当時、被相続人が外出していなかった、外出できるような身体的状況ではなかった、意思能力がないこと等を確認できる場合には、これらが被相続人の意思に基づかずに引き出されたことを推認させる証拠となります。

返還請求の進め方

それでは、相続人が使い込んだ者に対して不当利得返還請求等を行うには、どのような手順で行えばよいのでしょうか。

まずは、相手方と交渉を行うことが考えられます。相手方に引出しについての説明を求め、その説明が合理的かどうか、証拠があるかどうかを確認します。相手方が説明しない場合や、不合理な説明しかしない場合は、請求額を明確にして支払いを求めます。

相手方が支払いに応じない場合や、交渉で進めるのがふさわしくないと考えられる場合には、地方裁判所又は簡易裁判所に訴訟を提起することになるでしょう。

もっとも、遺産分割協議や遺産分割調停を進めている場合は、使い込みの問題も併せて話し合うことがあります。使い込みの金額がさほど大きくない場合や相手方が使い込みを認めて話し合いに応じる見込みがある場合には、遺産分割協議や調停の中で解決を図るほうが、時間と費用を節約できるからです。

このように、使い込みが疑われる事案は、証拠の収集と丁寧な検討が必要になり、また請求の進め方次第では時間と費用を節約できますので、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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