相続放棄をしても遺族年金や未支給年金は受給できますか
A. 相続放棄をしても、遺族年金や未支給年金を受給することができます。ただし、遺族年金や未支給年金の受給要件を満たす必要があります。
相続放棄をしても、遺族年金や未支給年金を受給することができます。ただし、遺族年金や未支給年金の受給要件を満たす必要があります
詳細は以下のとおりです。
1 遺族年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金)
遺族年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金)は、遺族がその固有の権利に基づいて受給できるものであることから、相続財産には含まれません。したがって、相続放棄をしても、遺族年金を受け取ることができます。
2 未支給年金
年金を受給していた人が亡くなった場合に、その人に支給すべき年金であって、まだ支給がされていないものを「未支給年金」といいます。
例えば、老齢基礎年金を受給していた人が9月20日に死亡した場合、その人が最後に受け取る年金は8月15日に支給される6月分と7月分になることから、8月分と9月分が未支給年金となります。
この未支給の年金については、もともとは被相続人が有していた請求権ですから、相続の対象(相続財産)となるかもしれないと思われるかもしれません。
しかし、法律上、未支給年金の受給権者は、年金を受けていた人が亡くなった当時(相続開始時)、その人と生計を同じくしていた①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦その他①~⑥の3親等内の親族と規定し、さらに受け取れる順位も①~⑦の順と規定しています(国民年金法第19条第1項、厚生年金保険法第37条第1項)。これら規定について、最高裁判所は、相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものとして、未支給年金の請求権が相続の対象にならないと判断しました(最高裁平成7年11月7日判決民集 49巻9号2829頁)。
したがって、未支給年金の受給権者は、相続放棄をしても、未支給年金を請求することができます。
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