相続をして共有となった不動産を売却するには？
Ａ．不動産の全部を売却するには、共有者全員の同意が必要になります。自分の持分だけを売却することも可能ですが、実際には困難な場合も多く、相続の際には共有ではなく単独所有とすることをお勧めします。
不動産の相続
不動産は、預貯金や有価証券等とは異なり、簡単に金銭に換えて分配することはできず、相続の際には相続人の共有とすることも多いと思われます。とくに実家の不動産等ですぐに処分することが難しい場合には、ひとまず共有にしておくケースも少なくないでしょう。
不動産全部を売却する
不動産を共有している場合、それぞれの共有者の権利については一定の制限があります。
売却のように不動産を処分する行為は、共有者全員の同意が必要とされており、不動産全部を売却するには、共有者全員が売却に同意をしていることが必要になります。反対に言えば、一人でも反対する人がいれば売却することはできません。
なお、不動産を修繕するなどの保存行為といわれるものについては共有者それぞれが単独ですることができ、また短期間の賃貸借契約等の管理行為といわれるものについては、共有持分の過半数分の同意があれば行うことができます。
共有持分だけを売却する
このように、不動産全部を売却するには共有者全員の同意が必要になりますが、自分の持分だけを売却するのであれば、他の共有者の同意は必要ありません。
例えば、実家不動産を姉妹二人で２分の１ずつを相続した場合、妹は姉に断りなしで自分の持分２分の１を第三者に売却することができるのです。ただし、実際に買い受ける人が出てくることはレアケースであると思われますので、現実的には共有者である姉に買い取ってもらうことが多いものと思われます。
最近では、共有持分を買い取る専門業者の存在もあるようですが、その業者等が買い取る価格としては、その後に共有状態を解消するコストなどを見込んだものとなるため、一般的には時価よりも相当に低額となると考えられます。
また、例えば共有の不動産が更地（建物が建っていない土地）であるような場合には、その土地を分筆という方法を使って、いわば物理的に分けて売却をすることも可能です。ただし、これには測量等の手続が必要となり、相応の費用がかかることになります。
このように考えると、不動産の相続の際にはできるだけ共有にはせずに、単独所有としておくことが望ましいケースが多いと考えられます。
≫共有不動産の売却に他の共有者が同意しない場合は、どうすればよいですか？
この記事を担当した執筆者
- 弁護士法人 みそら総合 代表弁護士 細川 治
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保有資格 弁護士 専門分野 相続問題全般、不動産、企業顧問 経歴 2000年10月 司法試験合格 2001年 4月 最高裁判所司法研修所 入所（第55期） 2002年10月 弁護士登録 2002年10月 浜垣法律事務所 入所 2006年 3月 山城ひまわり基金法律事務所 所長就任 2010年 4月 山城みそら法律事務所 設立 2021年 3月 弁護士法人みそら総合 代表社員就任
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