遺言は、いつ作成すればいいですか？
Ａ．法律上の決まりはありませんが、判断能力も十分で、健康が保たれているうちに作成しておくことをお勧めします。
作成のタイミング
遺言の作成時期に法律上の決まりはありません。一般的な考えとして、亡くなる間際であるとか、死期が近づいてきてからということがあるかもしれません。
これは「遺言」と「遺書」を誤解されている方が多いことが原因ではないかと考えることもあります。この２つは、決定的に違いがあり、「遺言」は自らの没後の相続関係を定めるための最終的な意思表示とされ、「遺書」は、そのような法律的な意味合いは含まないものとされます。
人生はいつ、何が起きるか誰にも分かりません。その意味では、いつ、何が起きてもよいように準備しておくことが重要であるといえます。とくに、遺言は自分ができる最後のメッセージであり、残された家族ができるだけ困らないようにするという重要な目的があります。
そのためには、遺言を作成しようと思われたときが、作成をする一つのタイミングであると思います。
遺言の作成に必要な判断能力（遺言能力）
もう一点、注意しておくべきことは、遺言の作成には十分な判断能力が必要です。民法にも、「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない」（第963条）と定められています。ご本人に判断能力がなくなってしまえば、もちろん作成することはできません。
また、十分な判断能力がない状態で作成された遺言は、将来、その有効性が争われる可能性が大きく、せっかく作成をしても新たなトラブルを招くことになってしまいます。
遺言は、満15歳以上であれば、いつでも作成することができますので（民法第961条）、判断能力も十分で、健康が保たれているうちに作成しておくことをお勧めします。
では、もし判断能力に問題がある場合には遺言を作成することはできないのでしょうか。
この点について、民法第973条では、「成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師2名以上の立会いがなければならない。遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない」と定めており、成年後見が開始された場合でも、遺言作成をする方法はあり得ます。
しかしながら、実際にはこのようなケースは極めて稀であり、やはり健康が十分保たれているうちに用意をしておくべきでしょう。
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この記事を担当した執筆者
- 弁護士法人 みそら総合 代表弁護士 細川 治
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保有資格 弁護士 専門分野 相続問題全般、不動産、企業顧問 経歴 2000年10月 司法試験合格 2001年 4月 最高裁判所司法研修所 入所（第55期） 2002年10月 弁護士登録 2002年10月 浜垣法律事務所 入所 2006年 3月 山城ひまわり基金法律事務所 所長就任 2010年 4月 山城みそら法律事務所 設立 2021年 3月 弁護士法人みそら総合 代表社員就任
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