遺言の種類
遺言には、大きく分けて、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者本人が、全文・日付・氏名を自書し、これに押印したものです。用紙の指定はありません。民法改正により、自筆証書遺言に添付する遺産目録の全部または一部は、パソコンで作成することも可能になりました。
作成が簡単で費用も安い点はメリットですが、形式的な不備があったり、内容が不明確であったりして、トラブルの原因になりやすい点はデメリットといえるでしょう。もし自筆証書遺言を作成される場合は、弁護士に相談されることをお勧めします。
なお、自筆証書遺言の場合は、相続開始後に、家庭裁判所において検認を受ける必要があります。検認の手続は、煩雑で時間がかかるため、お忙しい方には負担感のある手続きとなることでしょう。また、検認の場で相続人同士が顔を合わせることもありますので、相続人の関係性や遺言の内容によっては緊張感が漂うこともあります。
もっとも、法務局における自筆証書遺言の保管制度を利用する場合には、検認は不要となります。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、遺言者が希望する遺言の内容を公証人に伝えて、それを公証人が筆記したものです。この作成には証人2人の立会が必要で、公証人が筆記した内容を遺言者と証人に読み上げ又は閲覧させた上で、遺言者と証人による署名及び押印が必要になります。
公正証書遺言は、公証役場にその原本が保管されるほか、電磁的記録(PDF)でも保存されるため、紛失や悪意の破棄を防ぐことができます。保存期間は極めて長く、遺言者の死亡後50年、証書作成後140年又は遺言者の生後170年間となります。
公証人に作成手数料を支払う必要はありますが、公証人によるチェックが行われるため、公正証書遺言が無効になるようなことは少なく、一番安全なものといえます。
検認も不要ですので、すぐに相続手続を進められる点もメリットです。
秘密証書遺言
秘密証書遺言も、公証役場で完成する遺言ですが、遺言書の内容を明らかにしないまま、その遺言書が遺言者本人のものであることを明確にできるものです。
遺言書は遺言者本人が準備することになりますが、パソコンでも作成ができますし、代筆してもらうことも可能です。
しかし、自筆証書遺言と同様に、公証人が遺言書の内容を確認していませんので、形式的な不備や内容の不明確さからトラブルが生じるおそれがあります。遺言者自身が秘密証書遺言を保管しなければならず、紛失・隠匿・改ざんなどのおそれがある点も同様です。また、家庭裁判所で検認の手続きも必要になります。
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