投資信託は遺産分割の対象となりますか？
最近では、亡くなられた方（被相続人）の財産に投資信託が含まれている事案も珍しくはありません。
一般社団法人投資信託協会による「投資信託に関するアンケート調査報告書（2023年1月）によっても、2022年時点での投資信託現在保有層が26.5％とあり増加傾向にあるとされています。
しかし、預貯金であれば相続人の方にも馴染みが深いと言えますが、投資信託は経験がない方も多く、とくに相続においてどのような手続が必要となるのか分かりにくいことも多いでしょう。
この投資信託ですが、以前は相続と同時に当然に分割されることになり遺産分割の対象にはならないという考え方もありましたが、最高裁判所が「投資信託の受益権は当然に分割されることはない」という旨の判断をしたことから（最高裁平成26年2月25日判決民集 68巻2号173頁）、現在では遺産分割の対象となり、基本的には預貯金等と同様の手続により相続を進めることになります。
まず、遺言書がある場合には、その遺言の内容に従って遺産分割を進めることになり、遺言書がない場合には遺産分割協議を行うことによることになります。この場合、預金と同様に、個別の投資信託を相続人が取得することになりますが、共有の状態にすることは手続上煩雑になるため、一つの商品については一人の相続人が取得することが望ましいといえます。そのうえで、他の相続人に対しては、代償金を支払うという形での清算が一般的であろうと思います。
遺産分割協議（もしくは調停・審判）により投資信託を相続（取得）する者が決まった場合、金融機関を通じて解約もしくは名義変更の手続を進めることになります。通常は、相続人のもとに運用報告書や取引残高報告書というものが当該の金融機関から送付されますので、これを確認のうえで金融機関に相続が発生したことを連絡します。そうすると金融機関から相続に必要な書類を求められますので、これに従って手続を進めることになります。
なお、投資信託は預貯金とは異なり値動きがありますので、遺産分割協議書において代償金を具体的に定めた場合、もし事後に解約をした時点で値下がりをしたとしても、協議が成立した代償金額を変更することは全員の合意が必要になりますので、注意が必要です。
この記事を担当した執筆者
- 弁護士法人 みそら総合 代表弁護士 細川 治
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保有資格 弁護士 専門分野 相続問題全般、不動産、企業顧問 経歴 2000年10月 司法試験合格 2001年 4月 最高裁判所司法研修所 入所（第55期） 2002年10月 弁護士登録 2002年10月 浜垣法律事務所 入所 2006年 3月 山城ひまわり基金法律事務所 所長就任 2010年 4月 山城みそら法律事務所 設立 2021年 3月 弁護士法人みそら総合 代表社員就任
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