特別縁故者とは何ですか。
特別縁故者とは、被相続人（亡くなられた方）に法定相続人がいない場合に、特別に被相続人の財産を取得できる方のことです。民法第958条の3では、「被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者」が特別縁故者と定められています。
まず、具体的にどのような人が特別縁故者となり得るのかについて説明していきます。上記の民法の定めのとおり、次の三つのパターンがあります。
①被相続人と生計を同じくしていた者
このケースで多くあるのは被相続人とは入籍していなかったが同居生活をしていた内縁の妻や夫があげられます。その他でも相続関係にはない親戚などが考えられます。
②被相続人の療養看護に努めた者
このケースでは、被相続人とは同居などはしていなかったものの、被相続人の日常の世話や病院の付添をした場合等が考えられます。過去の裁判事例としては、被相続人の療養看護にあたった入所施設が特別縁故者と認められたものがあります（高松高裁平成26年 9月 5日決定金法 2012号88頁）。
③その他、被相続人と特別の縁故があった者
このケースでは、上記の①や②と同程度に被相続人と密接な交流があることが求められます。
過去の裁判事例では、
「被相続人の生前はその身の回りの世話をしたこと、今後も被相続人及びその親族の祭祀を怠りなく続けていく意向が認められ、また相続財産を抗告人（申立人）分与することが被相続人の意思にも合致することが推測できる」というケースで特別縁故者とすることが認められています（大阪高裁平成 5年 3月15日決定家月 46巻7号53頁）。
なお、特別縁故者が財産を受け取ることができる前提として、法定相続人が誰も存在しないことが必要です。法定相続人としては、配偶者、子ども、親、兄弟姉妹が予定されていますが、被相続人にその誰も存在しない（生存していない）ことが求められます。
また、法定相続人がいない場合であっても、被相続人が遺言を作成しており、財産を取得する者が指定されている場合も、特別縁故者が財産を取得することはできません。
この特別縁故者として財産を取得するためには、まず相続財産清算人選任の申立をすることが必要で、その手続の中で相続人がいないことが確定した後に、改めて「特別縁故者に対する相続財産分与申立」をすることが必要です。
その上で、裁判所の判断により特別縁故者に該当するか、また該当するとしてどの程度の財産を分与することが適当かということが判断されることになるのです。
この記事を担当した執筆者
- 弁護士法人 みそら総合 代表弁護士 細川 治
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保有資格 弁護士 専門分野 相続問題全般、不動産、企業顧問 経歴 2000年10月 司法試験合格 2001年 4月 最高裁判所司法研修所 入所（第55期） 2002年10月 弁護士登録 2002年10月 浜垣法律事務所 入所 2006年 3月 山城ひまわり基金法律事務所 所長就任 2010年 4月 山城みそら法律事務所 設立 2021年 3月 弁護士法人みそら総合 代表社員就任
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