遺言の内容と異なる遺産分割はできますか?
A.一定の条件のもと、遺言の内容と異なる遺産分割ができます。
相続人全員の合意は必須
遺言で遺産分割が禁止されている期間を除き、相続人全員の合意があれば、遺言の内容と異なる内容で遺産分割を行うことができます。
例えば、相続人が長女と二女である場合において、被相続人が「長女に財産のすべてを相続させる。」という遺言があったとき、長女が、二女との良好な関係を維持するために、2分の1ずつ(遺留分侵害額を超える額)での遺産分割を提案し、その内容で遺産分割協議を成立させることは可能です。
相続人全員の合意+α
相続人全員の合意のほかに、同意を得るべき人がいるケースがあります。
遺言執行者の同意
遺言により遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者には遺言内容を実行する権利と義務があることから、遺言執行者の同意も必要となります。
受遺者の同意+遺贈の放棄
受遺者がいる場合は、受遺者の同意が必要となるほか、受遺者による遺贈の放棄が必要になります。
①特定遺贈の場合(例えば、「a銀行の預金を知人Aに遺贈する。」という遺言)は、いつでも遺贈を放棄することができ、相続人または遺言執行者に対して意思表示することで足ります。
これに対し、②包括遺贈の場合(例えば、「相続財産の4分の1をいとこに遺贈する。」という遺言)は、相続放棄や限定承認と同様に、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所において遺贈の放棄の申述を行わなければなりません。短いうえに厳格な期限ですので、注意が必要です。
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