特別受益の評価額はどの時点のものですか?
A.特別受益の評価は、相続開始の時点(被相続人が亡くなった時点)のものになります。
遺産分割における遺産(相続財産)の評価は遺産分割の時点のものですが、特別受益の評価は相続開始の時点(相続人がなくなった時点)のものになります。
このように評価時点が2つあることにより、最終的な具体的相続分の額の計算は複雑なものになります。もっとも、実際のケースでは、相続開始時と遺産分割時が接近していることから、相続開始時の評価のみで算定することもあります。
以下では、よくある特別受益についての評価について、説明します。
不動産の贈与
不動産の評価については、固定資産税評価額、相続税評価額、不動産鑑定額等を用いますが、固定遺産税評価額は比較的簡単に調べることができます。
手元に相続開始時の年度の課税明細書があれば、「評価額」欄を確認してください。課税明細書が手元にないときは、市町村役場で、相続開始時の年度の固定資産評価証明書(又は名寄帳)を発行してもらい、「評価額」欄を確認してみましょう。
現金の生前贈与
現金の贈与については、貨幣価値の変動を考慮し、受領した金額に相続開始時の消費者物価指数(CPI)をかけるなどして算定します。
例えば、被相続人が平成25年に長男に現金1000万円を贈与し、令和元年に亡くなった場合は、令和2年を100とした消費者物価指数では、平成25年が94.2、令和元年の消費者物価指数が100.2となることから、次の算定式のとおり、特別受益の額は10,636,942円となります。
〔算定式〕10,000,000円×100.2÷94.2=10,636,942円
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