おひとりさまで頼れる親族がいません。将来、認知症になったときに備えて、財産管理について対策できることがありますか？
Q． 私（城陽市）は、独身で一人暮らしをしています。子どもはいません。父母は既に亡くなり、家族は弟（八幡市）だけとなりましたが、その弟も最近は入退院を繰り返しています。私が認知症になったら、自分で財産を管理することはできなくなるでしょうが、頼れるような人がいません。認知症になる前にできる対策はありますか。
A．任意後見契約の締結やホームロイヤー契約（見守り）の利用が考えられます。
1.任意後見契約
任意後見契約とは
認知症が進むなどして判断能力が低下すると、買ったことを忘れて同じものを大量に買い込む、通信販売で必要のないものを大量に買う、訪問販売で必要のない高額の契約を締結させられるなど、自分で財産管理を行うことが不可能になったり著しく困難になったりします。
そこで、判断能力が十分にある時に、あらかじめ信頼できる人に財産管理や療養看護に関する事務を依頼する契約を、任意後見契約といいます。この事務を依頼される人を任意後見人といい、任意後見人には、家族ではない弁護士などの専門家もなることができます。
任意後見契約は、本人と任意後見人予定者との間で、公証人の作成する公正証書で締結されますが、直ちに効力が発生するわけではありません。本人の判断能力が不十分になったときに、任意後見人予定者などが家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで、任意後見契約の効力が発生します。
任意後見人等の報酬
任意後見契約に関する報酬は、次のとおり定められます。任意後見監督人の報酬は、任意後見人よりも少額になることが通常です。
・任意後見人の報酬…任意後見契約で定められた報酬
・任意後見監督人の報酬…家庭裁判所が決定した報酬
2.ホームロイヤー契約（見守り、財産管理）
認知症の場合は徐々に判断能力が低下するため、後見制度を利用するまでではないけれども、物忘れが多くなってきた、契約書などの理解が難しくなってきたなど、自分で財産管理ができないことすらわからなくなってしまうことへの不安を抱かれる方もいらっしゃいます。
その場合は、弁護士とホームロイヤー契約を締結して、
・定期的（１～２か月に１回）に面談等で法律相談を受け、その際に判断能力が低下していないか確認してもらう（見守り）
・財産の全部又は一部の管理を委ね、財産目録や年間の収支予定表を作成してもらい、本人の意向に沿って適切に財産を管理してもらう（財産管理）
ということも可能です。
このホームロイヤー契約は、まだ認知度が高くはありませんが、本人の判断能力が残っている段階で、弁護士が本人から財産状況を把握でき、親族や介護関係者等との協力関係も構築できることがあるため、その後の支援や任意後見・法定後見への移行がスムーズになります。
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この記事を担当した執筆者
- 弁護士法人 みそら総合 代表弁護士 細川 治
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保有資格 弁護士 専門分野 相続問題全般、不動産、企業顧問 経歴 2000年10月 司法試験合格 2001年 4月 最高裁判所司法研修所 入所（第55期） 2002年10月 弁護士登録 2002年10月 浜垣法律事務所 入所 2006年 3月 山城ひまわり基金法律事務所 所長就任 2010年 4月 山城みそら法律事務所 設立 2021年 3月 弁護士法人みそら総合 代表社員就任
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