特別受益には、どのようなものがありますか?
A.遺贈、婚姻または養子縁組のための贈与、生計の資本として贈与の3種類があります。
特別受益(民法第903条)の種類は、遺贈、婚姻または養子縁組のための贈与、生計の資本として贈与の3つになります。これらの具体例は、次のとおりです。
1 遺贈
遺贈とは、被相続人が遺言により遺産を特定の相続人等に渡すことができる単独行為です。
遺贈には、大きく分けて、包括遺贈(遺産の全部または一定の割合を与える行為)と特定遺贈(特定された遺産または種類などによって特定された遺産を与える行為)の2種類があり、いずれも目的を問わず特別受益の対象となります。
2 婚姻または養子縁組のための贈与
婚姻や養子縁組にあたっての持参金や支度金は、特別受益の対象となります。
この持参金や支度金の贈与は数十年前のことが多く、遺産分割の段階では証拠がなく、証明が難しいこともあります。
また、令和5年4月1日施行の改正民法により、相続開始から10年を経過した後にする遺産分割では特別受益を主張することができなくなりました。5年の猶予期間はあるものの、施行日よりも前に開始された相続についても適用されることになりましたので、やはり遺産分割は放置すべきではありません。
3 生計の資本としての贈与
生計の資本としての贈与とは、開業資金・営業資金、大学院・留学の費用、居住用不動産または購入資金の贈与など、生計の基礎として役立つような財産上の給付をいいます。
新築祝いや入学祝いなど、親として通常の援助の範囲でなされたお祝いの趣旨の贈与は該当しません。
また、身体的・精神的要因などにより稼働できない子に対して、親が扶養義務に基づき援助する場合も、特別受益に該当しないと考えられています。
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