共有である不動産を相続する方法は?
A.基本的には、通常の不動産の相続とは変わりありません。複雑な権利関係になることを防ぐために事前に遺言を作成しておくことが望ましいケースといえます。
共有不動産の相続
例えば、二世帯住宅について、父親と長男が土地と建物について持分2分の1ずつで共有している状態は、よくあるケースだと思われます。では、父親が亡くなった場合にはどのような状況になるでしょうか。
この場合に、不動産の共有者である長男が優先して相続できるなどということはなく、父親の持分については通常の相続と同様の権利関係になります。
このケースで母親と二男、三男もいたとすると、父親の持分(2分の1)を母親が2分の1、子どもたちが6分の1ずつを相続することになり、結果として、長男が12分の7、母親が4分の1、二男と三男が12分の1という持分割合になります。
多数の共有状態となるリスク
相続手続きを進めるためには、遺産分割協議を行う必要がありますが、その結果として長男が父親の持分を取得する、ということになれば権利関係はスッキリしたものになります。
これに対して、例えば不動産以外の預貯金等がそれほど多くない場合などは、父親の持分を子ども3人で3分の1ずつ相続する状況もあろうかと思います。しかし、このような結論は多数の共有者を生み出してしまうことになり、将来的に問題を残すことにもなりかねず、あまりよい結論とは言いにくいでしょう。可能であれば、代償分割をお勧めします。
遺言作成のススメ
このような共有不動産がある場合には、遺言を作成しておくことが問題解決の有効策といえます。父親(長男にも当てはまります。)が、自分の共有持分については、共有者である長男に相続させるという遺言を作成しておけば、少なくとも不動産を共有状態にすることは避けることができるからです。
もちろん、場合によっては遺留分の問題が発生する可能性はありますが、それでも法定相続分よりは低額での清算をすることが可能になりますし、上記のような多数の共有状態を回避することができるというのは大きなメリットといえます。
なお、共有持分を生前贈与しておくという方法も考えられますが、この場合は贈与税の問題が発生しうることに留意が必要です。
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