生前贈与された不動産は、遺留分の算定で考慮されますか?
Q. 亡父の相続人は、私(八幡市)と弟(宇治市)の2人です。亡父は、生前、弟に父名義の不動産を贈与していました。亡父の預貯金はほぼなく、その不動産がほぼ唯一の遺産です。生前贈与された不動産も、遺留分で考慮されますか。
A.亡父から弟への生前贈与は、㋐それが相続開始前10年以内に行われ、かつ、特別受益に該当する場合や、㋑亡父と弟が「私」の遺留分を侵害することを知りながら行われた場合は、遺留分の算定で考慮されます。
※令和元年7月1日以降の相続を対象としています。
1.遺留分額の算定
遺留分とは
遺留分とは、相続に際して、被相続人の財産のうち、一定の相続人に承継されるべき最低限の割合です。遺留分は、被相続人の配偶者、直系卑属(子など)、そして直系尊属(親など)に認められていますが、兄弟姉妹には認められません。
遺留分額
各相続人の遺留分額は、次のとおり算定します。
2.遺留分算定の基礎となる財産
上記の図のうち、「遺留分算定の基礎となる財産」は、次のとおり算定します。
「生前に贈与した財産」には、以下の3種類が含まれます。
②相続開始前10年以内に行われた相続人への生前贈与で、特別受益に当たるもの
③遺留分を侵害することを双方が知りながら行われた生前贈与
つまり、①~③に該当すれば、生前贈与されていた不動産も遺留分で考慮されることになるのです。
今回のケースでは、亡父から相続人である子(「私」の弟)への生前贈与ですから、②又は③に該当すれば、遺留分で考慮されることになります。
一般的な検討の順序としては、まず贈与の時期を登記事項証明書等で確認し、亡父の相続開始(死亡日)から10年以内に贈与されていた場合は②の特別受益に該当するかを検討し、②に該当しない場合は③を検討するという順序になります。
≫遺留分侵害額請求でお困りの方へ
≫Q&A 特別受益には、どのようなものがありますか?
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