養子としての相続分と代襲相続分は両方もらえますか?

Q.父方の祖父(宇治市在住)が亡くなりました。私(宇治市在住)は祖父の養子ですが、父が祖父よりも先に亡くなったので、代襲相続人でもあります。養子としての相続分と代襲相続分は両方もらえますか。
A.両方取得することができます。「私」の相続分は、養子としての相続分と代襲相続人としての相続分の合算になります(通説・実務)。
1 相続人資格の重複とは?
養子としての相続分
子(養子を含みます。)は、第一順位の相続人です(民法第900条第1号)。
したがって、被相続人(祖父)の養子である私は、子としての相続分を取得します。
代襲相続人としての相続分
被相続人の子が、相続の開始以前(被相続人が亡くなるよりも前)に死亡したときは、亡くなった子の子(被相続人の孫)が相続人となります(民法第887条第2項本文)。
ケースでは、「私」の父が被相続人よりも前に亡くなっていることから、その子である「私」が代襲相続人として父の相続分を取得します。
まとめ
以上をまとめると、相続人の一人が被相続人の養子であり、代襲相続人である「私」は、
・被相続人の養子(子)としての相続人
・被相続人の子の代襲相続人としての相続人
という二重の立場を持つことになります(「相続人資格」の重複)。
2 相続分は重複できるのか?
前述のとおり、相続人資格は重複することがありますが、その場合に「相続分」を重複して取得することはできるのでしょうか。
結論としては、相続分を重複して取得することが可能です。
①養子としての相続分と②代襲相続分は、別々の相続人たる地位に基づくものです。この点を直接肯定した最高裁判例はありませんが、通説は肯定しており、家庭裁判所の実務でも①と②の「合算処理」が行われます。
民法が身分関係の重複(孫のまま養子となることができること)を認めていることから、相続資格の重複を認めるべきであるという考え方に基づいています。
3 ケースの場合の法定相続分
「相続分」の重複が認められるという意味については、ケースの場合の各相続人の法定相続分を考えるとイメージしやすくなります。
配偶者
法定相続人が配偶者と子である場合は、配偶者と子(全員)の法定相続分は2分の1ずつとなります(民法第900条第1号)。
したがって、ケースの場合は、配偶者である祖母の法定相続分は2分の1です。
※配偶者は常に相続人となります(民法第890条)。
子
前述のとおり、ケースの場合の子(全員)の法定相続分は2分の1となり、これを子の人数で等分します(民法第900条第4号本文)。
子の人数は、実子2人(叔母と父)と養子1人(私)の合計3人ですので、子1人あたりの法定相続分は6分の1となります。
[計算式] 子全員の法定相続分1/2÷3=1/2×1/3=1/6
まとめ
以上をまとめると、各相続人の法定相続分は以下のとおりです。2つの相続資格(養子かつ実子の代襲相続人)をもつ「私」の法定相続分が、伯母の法定相続分よりも多くなっていることがわかります。
相続資格 |
法定相続分 |
祖母:配偶者 |
1/2 |
伯母:実子 |
1/6 |
私:養子+実子の代襲相続人 |
1/6+1/6 |
4 法定相続分の計算は専門家へご相談を
相続人資格が重複するケースは、法定相続分の計算が複雑になりやすく、相続人調査をしないと気づけないことも少なくありません。
また、相続人資格が重複しない場合でも注意が必要です。近年、相続登記の申請義務化に伴い、昭和以前に亡くなった方の遺産分割に関するご相談が増えています。このようなケースでは、相続人が多数になったり、適用される民法が異なるために法定相続分が現在と異なったり、法定相続分の計算が複雑になりがちです。
思わぬトラブルを防ぐためにも、早い段階で弁護士などの専門家へご相談いただくことをお勧めします。当事務所では、相続人調査から遺産分割協議まで幅広くサポートしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。



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