孤独死の場合の相続開始日はいつ?

Q: 一人暮らしをしていた妹(八幡市在住)が、居住していたマンションで亡くなっているのが発見されたと連絡がありました。亡くなってから1か月ほど経っていたようですが、この場合、妹の相続は、いつ始まることになるのでしょうか?
A: 原則として、死亡診断書(死体検案書)の「死亡したとき」に記載された日時が相続開始の発生時点になります。
1 孤独死の場合の手続き
いわゆる孤独死の場合、警察による検視が行われ、医師によって死亡診断書(死体検案書)が作成されます。
孤独死のように明確な死亡日時の判定が困難な場合、死亡の日時が以下のように記載されるのが一般的です。
• 「令和〇年〇月〇日午前〇時〇分頃」
• 「令和〇年〇月〇日頃から〇日頃までの間」
• 「令和〇年〇月〇日推定」
戸籍(除籍謄本)には、この死亡診断書の内容に基づいた日付が記載されます。この日付が、法律上の相続開始時として扱われます。
2 相続手続き上の重要な注意点
死亡の日時が数日〜数週間の幅でしか特定できない場合、以下のような問題が発生することがあります。
相続放棄について
相続人が、多額の借金などマイナスの財産を相続しないために「相続放棄」をする場合、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内(熟慮期間)に、家庭裁判所での手続きを行う必要があります(民法第915条1項本文)。
孤独死の場合は、発見された日時からさかのぼって死亡していたことになるケースが多く、亡くなったことを知った時点では、すでに亡くなった時点から3か月が経過してしまっている可能性があります。
しかし、この3か月のカウントダウンは、「相続の開始があったことを知った時」、つまり被相続人が亡くなった(発見された)ことを知ったときから開始されることになります。
そのため、被相続人が亡くなった(発見された)という連絡を受けてから速やかに対応すれば相続放棄は可能ということになります。
相続人の資格について
死亡の日時に幅があるようなケースで、その時期に別の相続人が亡くなっていた場合、どちらが先に亡くなったかによって相続権の有無(代襲相続が発生するか等)が変わる可能性があります。
民法では、死亡の前後が判明しないときは、法律上「同時に死亡されたものと推定する」(民法第32条の2)ものとして扱われます。
この場合、亡くなった方同士の間には相続が発生しません。
例えば「父と子」が同時に亡くなったと推定される場合、子の配偶者は父(義父)の遺産を相続できませんが、孫がいれば孫が父(祖父)の遺産を代襲相続することになります。
3 まとめ
孤独死された方の相続では、遺品の整理、未払いの家賃や公共料金の精算、さらには特殊清掃費用の負担など、法的な判断を要する問題が山積みです。
特に、遺品を安易に処分してしまうと、相続を承認したもの(単純承認)とみなされ、後から多額の借金が見つかっても相続放棄ができなくなるリスクがあります。
まずは現場に手を付ける前に、相続の専門家である弁護士に相談して、状況を整理しておくことをお勧めいたします。
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